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FREE - <無料>からお金を生み出す新戦略

2010年04月24日
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
(2009/11/21)
クリス・アンダーソン

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評価:★★★★★

著者紹介:クリス・アンダーソン

『ワイアード』誌編集長。
「ロングテール」という言葉を2004年にはじめて世に知らしめ、2006年に刊行した同名の著書 『ロングテール-「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』 (早川書房)  は世界的ベストセラーとなる。
2007年には米 『タイム』 誌の 「世界で最も影響力のある100人」 に選ばれている。
ジョージ・ワシントン大学で物理学の学位を取得、量子力学と科学ジャーナリズムをカリフォルニア大学バークレー校で学ぶ。
ロス・アラモス研究所の調査員を務めたあと、世界的科学雑誌である 『ネイチャー』 誌と 『サイエンス』 誌に6年間勤務。
その後、英 『エコノミスト』 誌の編集者としてロンドン、香港、ニューヨークで7年間テクノロジーからビジネスまで幅広い記事を扱い、また1994年には同誌のインターネット版を立ち上げる。
2001年から現職。
以来同誌を全米雑誌賞のノミネートに9度導き、2005年、07年、09年に最優秀賞(General Exellence)を獲得している。
現在カリフォルニア州バークレーに妻と5人の子供と暮らす。
著者ブログ (www.thelongtail.com)


以下は、アマゾンの紹介文である。

「世界的ベストセラー『ロングテール』の著者が描く21世紀の経済モデル」
「“フリーミアム” という新しいビジネスモデルを提唱し、ビット世界の無料経済に正面から取り組んだニューヨーク・タイムズ・ベストセラー」

なぜ、一番人気のあるコンテンツを有料にしてはいけないのか?
なぜ、ビット経済では95パーセントをタダにしてもビジネスが可能なのか?

あなたがどの業界にいようとも、〈無料〉との競争が待っている。
それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。
そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る
このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか?


続いて、目次である。

●フリーの誕生

●フリー入門 - 非常に誤解されている言葉の早わかり講座

●フリーの歴史 - ゼロ、ランチ、資本主義の敵

●フリーの心理学 - 気分はいいけど、よすぎない

●安すぎて気にならない - ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、必ず無料になる

●「情報はフリーになりたがる」 - デジタル時代を定義づけた言葉の歴史

●フリーと競争する - その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数ヶ月で済んだ

●非収益化 - グーグルと21世紀型経済モデルの誕生

●新しいメディアのビジネスモデル - 無料メディア事態は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ

●無料経済はどのくらいの規模なのか? - 小さなものではない

●ゼロの経済学 - 1世紀前に一蹴された理論がデジタル経済の法則になったわけ

●非貨幣経済 - 金銭が支配しない場所では、何が支配するのか

●(ときには)ムダもいい - 潤沢さの持つ可能性をとことんまで追求するためには、コントロールしないことだ

●フリー・ワールド - 中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか

●潤沢さを想像する - SFや宗教から “ポスト稀少” 経済を考える

●「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」 - その他、フリーに対する概念あれこれ


“FreeEconomics” = 「無料の経済学」 という新しい経済分野が登場した。

ここでいう 「無料」 とは 「2つ購入すれば、2つ目はタダ」 といった、マーケティングの一つの方法としての 「無料」 ではない。
これは実質的には、商品1つ当たりの価格を半額にしているだけであって、実際に無料になっているわけではなく、消費者の目を欺くものでしかない。

しかし、新しく登場した 「無料 (FREE) 経済」 においては、本当に無料のものが存在している。
ここでいう 「もの」 とは、伝統的な経済学でいうところの 「モノ」 = 「アトム」 ではなく、「情報」 = 「ビット」 である。

クリス・アンダーソンによると、「FREE=無料」 には、以下の10個のルールがある。

1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる

2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない

3.フリーは止まらない

4.フリーからもお金儲けはできる

5.市場を再評価する

6.ゼロにする

7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる

8.ムダを受け入れよう

9.フリーは別のものの価値を高める

10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう


20世紀の経済は、いくら 「モノ」 からサービスへのシフトが進もうとも、その主役は 「モノ」 であった。

しかし中国やインド、アフリカ諸国などの台頭により、労働コストは彼らの低水準に収斂し、これまでの稀少品はコモディティへと変わり、その稀少性を失う。
そういう時代において次に経済の主役を担うのは 「ビット」 から成る、無形の 「情報」 である。

つまり経済は、20世紀型の 「アトム経済」 から21世紀型の 「ビット経済」 へと移行していくのだ。

ビット経済の基本は、先ほど述べた 「無料」 である。
潤沢に存在し、それ単体では無価値の情報をどう利用し、どう捉えるか、それによって利益が生まれる。

無料と利益は背反の事象として捉えられることが多いが、ビット経済においてはその限りではなく、両者は両立し得る。
つまり、無料にすることにより生じた魅力に人が集まり、その集団が評判やコミュニティ、ネットワーク性などといった新たな価値を持ち、そして利益を生み出すのである。
それはGOOGLEやフェースブック、ミクシー、メイプルストーリー、ウィキペディア等々を見れば明らかである。
(これらの全てのサービスは基本的には無料で利用でき、しかも多くの価値を社会または彼らに与えている。もっとも、GOOGLEほどの利益を生み出している企業は今のところ存在しないが・・・)

もちろん従来のような 「アトム経済」 におけるビジネスモデルが通用し、利益を上げることもある。
(いや、実際は旧来のビジネスモデルがしばらくは社会の利益の大部分を占めるであろう)
しかし重要なのは、今の世界にはこれまでの伝統的な経済学では説明しえない未知のモデル 「無料 (フリー) 経済」 が存在していることであり、多かれ少なかれ、我々はこの新しい環境に身を置くことになるということである。

最後に、本書の著者クリス・アンダーソンの言葉を借りて、この文章を締めくくりたいと思う。

この 「FREE=無料」 というテーマは本にするのに申し分ないと私は思った。
「まちがっている」 と 「自明のことだ」 というふたつの意見に分かれる話題は、どんなものであれ、いいテーマに違いない。
この本を読んだ皆さんが、最初はどちらの意見を持っているにせよ、読み終わったときには、どちらにも与していないことを私は願っている。
フリーは新しいことではないが、変わり続けている。
そして、その変化は、人間の行動や経済的インセンティブに関する基本的な理解を見直すよう私たちに迫っているのだ。




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超説 ニーチェの言葉

2010年04月20日
超訳 ニーチェの言葉超訳 ニーチェの言葉
(2010/01/12)
白取 春彦

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評価:★★★★☆

著者情報:フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzche)

ドイツの哲学者。
1844年にプロイセン王国領ザクセンに牧師の子として生まれた。
ボン、ライプツィヒ両大学に学び、ワーグナーとショーペンハウアーに傾倒した。
24歳でスイス・バーセル大学の古典文献学の教授となる。
1872年に処女作『悲劇の誕生』を発表。
1879年に大学を辞し、十年にも及ぶ漂泊の中で執筆活動を続けるが、1889年に精神が崩壊、1900年にワイマールに没した。
ヨーロッパ思想への痛烈な批判、永劫回帰、力への意志など、その鋭く独自の思想によりハイデッガーをはじめとする二十世紀の哲学思想に影響を与えた。
代表作に『ツァラトゥストラはかく語りき』(1883~1885)、『善悪の彼岸』(1886)、『人間的な、あまりに人間的な』(1878)、『ショーペンハウアー』(1874)などがある。



本書はドイツの哲学者、ニーチェの著作を、その哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある白取氏が翻訳し、一般の読者にも分かりやすいように断章的に綴っている本である。
私は今までニーチェという偉大なドイツの哲学者の哲学に触れたことはなく、「彼の思想はヒトラーやナチズムの思想に影響を与えたのではないか」といった程度の無責任な認識しかもっていなかった。

しかしそのような認識が単なる妄想であるということに、本書に綴られているニーチェの格言を読むことで否が応でも気付かされた。
彼の思想は、鋭い洞察力に裏付けられた大胆な発想と、現実の世界における心理・善・道徳を重視している。
そういった理由からも、彼の哲学は「生の哲学」と呼ばれている。

以下では、ニーチェの哲学や思想を端的に表している彼の言葉を掲載する。
彼の独自の世界観、そして現実の世界をよりよく生きる為の「生の哲学」を感じとっていただきたい。
当書評においては全ての格言を書き記すことができなかったが、本書には232もの格言が綴られている。

【己について】
●初めの一歩は自分への尊敬から
●一日の終わりに反省しない
●自分を表す3つの形
●自分の「なぜ」を知れば道は開ける
●自分の行為は世界に響いている
●信頼が欲しければ行動で示せ
●解釈のジレンマ
●恐怖心は自分の中から生まれる
●無限の豊かさは自分にある

【喜について】
●仕事はよいことだ
●精神が高まるほど繊細なものを食べる

【生について】
●始めるから始まる
●人生を最高に旅せよ
●生に強く向かうものを選べ
●高まるために捨てる
●職業がくれる一つの恵み
●いつかは死ぬのだから
●人間であることの宿命

【心について】
●心に光があるから希望の光がわかる
●平等の欲望
●調書の影に隠されているもの
●永遠の敵
●虚栄心の狡猾さ
●魂が贅沢の水を好む
●飽きるのは自分の成長が止まっているから
●活発だからこそ退屈を感じる
●精神の自由をつかむためには

【友について】
●四つの徳を持て
●必要な鈍さ

【世について】
●世間を超えて生きる
●つまらないことに苦しまない
●二種類の支配
●批判という風を入れよ
●攻撃する者の内的理由
●狐よりもずるいのは
●ニセ教師の教えること
●だまされた人の悲しみ

【人について】
●人間の自然性を侮蔑しない
●人間の二タイプ
●真に創造的な人物とは
●勝つなら圧倒的に勝て
●勝手に行為の大小を決めない
●夢に責任を取る勇気を
●小心者は危ない
●怠惰から生まれる信念
●待たせるのは不道徳
●危険に見えることには挑みやすい

【愛について】
●愛は雨のように降る
●真実の愛に満ちた行為は認識されない
●最大のうぬぼれ

【知について】
●勉強はよく生きることの土台となる
●真理の論拠
●本を読んでも
●読むべき書物
●真の教育者は解放する
●最短の道は現実が教えてくれる
●自分の哲学を持つな
●考えは言葉の質と量で決まる
●原因と結果の間にあるもの
●合理性で判断しない
●現実と本質の両方を見る
●よく考えるために

【美について】
●感覚を愛しなさい
●良いことへの道
●自分しか証人のいない試練


上記のような格言に対して、それを補足説明するという形で本書は構成されている。
格言部分だけを見てもニーチェの思想は捉えにくいと思われるので、興味がおありの方は本書を手に取り、ご一読なさってみてはいかがだろうか。





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